そう思っていた頃がありました。
今思えば、かなり焦っていたのだと思います。
周りの人が普通にできていることを、自分だけがうまくできていないように感じる。
同じ説明を聞いているはずなのに、理解するのに時間がかかる。
一度教えてもらったことを、また聞いてしまう。
そんなことが続くと、自分は仕事ができない人間なのではないかと考えてしまいます。
その頃の私は、仕事ができる人になるための方法をよく探していました。
本を読んだり、ネットで調べたり、仕事術のようなものを見たりしました。
メモを取る。
優先順位を決める。
報告・連絡・相談を大事にする。
時間を意識する。
ミスを減らす。
どれも間違ってはいないと思います。
でも、当時の自分には少し遠い言葉にも感じました。
なぜなら、仕事ができるようになりたいと思っている時ほど、頭の中が落ち着いていなかったからです。
早く覚えなければいけない。
迷惑をかけてはいけない。
怒られたくない。
できない人だと思われたくない。
そんな気持ちが先に立って、目の前の作業に集中できなくなることがありました。
仕事ができる方法を探しているのに、気持ちはどんどん追い詰められていく。
少し矛盾しているようですが、そういう時期だったのだと思います。
仕事ができる人を見ると、すべてを簡単にこなしているように見えます。
判断が早い。
手が止まらない。
人とのやり取りもスムーズ。
ミスをしても大きく崩れない。
その姿を見るたびに、自分とは全然違うと思っていました。
でも、あとになって少しわかったことがあります。
仕事ができる人は、最初から何でもできたわけではないのかもしれません。
ただ、失敗したあとに戻る場所を持っている。
確認する習慣がある。
わからないことを整理する力がある。
そして、自分の慌て方を少し知っている。
そういう積み重ねが、仕事ができるように見える姿につながっているのかもしれません。
私が少し楽になったのは、いきなり仕事ができる人を目指すのをやめた頃でした。
完璧にやることよりも、昨日より少しだけミスを減らす。
早くやることよりも、まず手順を間違えない。
わかったふりをするよりも、早めに確認する。
そう考えるようにすると、少しだけ気持ちが軽くなりました。
大きく変わったわけではありません。
急に評価が上がったわけでもありません。
それでも、目の前の仕事をひとつずつ見ることはできるようになっていきました。
仕事ができるようになる方法は、特別な才能だけではないと思います。
もちろん、向き不向きはあります。
覚えるのが早い人もいれば、話すのがうまい人もいます。
段取りが自然にできる人もいます。
でも、そうではない人にも、できることはあります。
同じミスを減らすためにメモを残す。
作業の前に一度だけ確認する。
わからないことをそのままにしない。
疲れている時ほど無理に急がない。
そういう地味なことが、あとから自分を助けてくれます。
仕事ができるようになりたいと思っていた頃の私は、どこかで一発逆転の答えを探していたのかもしれません。
これをすれば変わる。
この考え方を知ればうまくいく。
そんな方法が欲しかったのだと思います。
でも実際には、仕事は毎日の小さな積み重ねでしか変わっていかないのかもしれません。
うまくいかない日がある。
失敗する日もある。
落ち込む日もある。
それでも、次に同じ場面が来た時に、少しだけ前より落ち着いて動ける。
その少しの変化が、仕事ができるようになるということなのかもしれません。
今でも、仕事ができる人間だと胸を張って言えるわけではありません。
それでも、昔のように「自分は全部だめだ」とは思わなくなりました。
できないことがあるなら、やり方を見直せばいい。
苦手なことがあるなら、早めに準備すればいい。
不安になるなら、確認する回数を増やせばいい。
そうやって、自分なりの進み方を作っていけばいいのだと思います。
仕事ができるようになる方法を探していた頃。
その時間は、遠回りだったかもしれません。
でも、自分の弱さや焦りを知る時間でもありました。
仕事ができるようになるというのは、ただ作業が早くなることだけではない。
自分がどこでつまずくのかを知り、少しずつ直していくこと。
そして、できない自分を責め続けるのではなく、次に進むための形を作っていくこと。
今は、そんなふうに考えています。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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