「できる人の真似をすればいい」
と言われることがあります。
たしかに、それは間違っていないと思います。
仕事が早い人。
説明がうまい人。
段取りがきれいな人。
人から信頼されている人。
そういう人のやり方を見て、
少しでも取り入れようとするのは、
とても大事なことだと思います。
でも、実際に真似をしてみると、
なぜかうまくいかないことがあります。
同じように話しているつもりなのに、
相手に伝わらない。
同じように作業しているつもりなのに、
時間ばかりかかってしまう。
同じように振る舞っているつもりなのに、
どこか無理をしている感じになる。
そして、思ってしまいます。
やっぱり自分には向いていないのかもしれない。
でも、できる人の真似がうまくいかないのは、
自分に能力がないからとは限りません。
その人には、
その人なりの経験があります。
失敗した回数があります。
怒られた記憶があります。
何度もやり直してきた時間があります。
今見えている「できる姿」は、
その積み重ねの上にあるものです。
だから、表面だけを真似しても、
同じようにはいかないのだと思います。
たとえば、仕事が早い人は、
ただ手を速く動かしているだけではありません。
先に考えるところと、
あとで考えてもいいところを、
自然に分けているのかもしれません。
説明がうまい人は、
ただ話し方が上手なだけではありません。
相手がどこで迷うかを、
先に想像しているのかもしれません。
段取りがうまい人は、
ただ予定を立てているだけではありません。
失敗しそうな場所を、
先に見つけているのかもしれません。
見えている動きの奥に、
見えていない考え方があります。
そこを見ないまま真似をすると、
形だけをなぞることになります。
形だけをなぞると、
自分のリズムと合わなくなります。
そして、うまくいかない。
疲れる。
続かない。
大事なのは、
できる人になりきることではなく、
できる人の中から、
自分にも使える部分を見つけることだと思います。
全部を真似しなくていい。
話し方を全部変えなくていい。
性格まで変えなくていい。
その人と同じスピードで動けなくてもいい。
ただ、ひとつだけ真似してみる。
作業前にメモを書く。
確認する順番を決める。
報告を少し早めにする。
わからないことを放置しない。
それくらいの小さな真似なら、
自分の中にも入れやすいと思います。
仕事は、誰かのコピーになる場所ではありません。
でも、誰かの良いところを見て、
少しずつ自分のやり方を育てていく場所ではあります。
できる人の真似をして、
すぐにうまくいかなくても、
それだけで落ち込まなくていい。
その人にはその人の道があり、
自分には自分の道があります。
真似をすることは、
自分を否定することではありません。
自分に合うやり方を探すための、
ひとつの材料です。
できる人と同じになれなくても、
少しだけ前より楽にできるようになれば、
それで十分意味があります。
仕事は、一気にうまくなるものではなく、
少しずつ慣れていくものです。
真似して、失敗して、
合わないところを外して、
合うところだけを残していく。
その繰り返しの中で、
いつか自分なりのやり方ができていくのだと思います。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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